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チタンについて

チタンってどんな金属?

須山歯研のチタン鋳造

原子番号22、チタンは1791年、イギリスの銀行家グレーガーによりメナカメイトという酸化物(酸化チタン)として発見され、1795年にドイツ、クロプートによりギリシャ神話における女神ガイアとウラノスの子、巨人ティターン(TITANEN)にちなみ命名されました。
 
その後チタン鉱石から金属チタンを製造する方法が1910年にアメリカ、ハンターにより発明されるまで、120年の年月を経ます。また工業用品としての利用には1936年、ウィリアム・クロールによりマグネシウム還元法での精錬方法が確立され、1948年にアメリカでの製造が開始されるまで、更に長い歳月を必要としました。
 
通常金属の精錬は酸化・還元反応を利用し取り出しを行います。しかしチタンは酸素との結合力が強固なため、まず高温下で塩素と炭素を加え、二酸化チタンを四塩化チタンと一酸化炭素/二酸化炭素とし、酸素と切り離します。これにナトリウム(ハンター法)、又はマグネシウム(クロール法)を用い、チタンと塩、又はチタンと塩化マグネシウムに分離してチタンが単離されます。こうして製造されるチタンは鋳造用インゴット、線材、板材などに姿を変え、さらなる加工が加えられますが、この加工性にもチタンの持つ難しさがあります。

チタンの加工技術

須山歯研のチタン鋳造

鋳造においてはまずロウで原型を製作し、耐火埋没材に埋め込みます。硬化した埋没材を釜で高温に熱し、鋳型の中のワックス原型を焼却して鋳型を製作。そこに溶解したチタンを鋳込みますが、この際非常に酸素と結合しやすく、鋳造体の酸化、巣の発生といった問題が生じます。このためチタンの鋳造は真空・またはアルゴンガスなど不活性ガスと置換した環境下で行われます。一方熱膨張率が低いため冷却時の収縮が少なく、寸法精度に関してはコバルトクロームなどと比較しても良好な結果が得られます。
 
プレス加工については、金型への焼付きにより均一な圧延が難しいという問題がありましたが、近年では被加工物への酸化膜形成と金型材質を軟質なものにするなどの方法が確立され、深絞りのような加工も可能となってきたようです。
 
線・板材の切削加工においては、チタンの低い熱伝導性が問題となります。金属加工を行う際、切削器具の大敵は金属との間に生じる摩擦熱で、刃が過熱すると変型・破断が発生、切削器具の寿命を縮めてしまいます。また被加工物にも悪影響を及ぼし、美しい切削面性情が得られず、寸法精度も低下します。
 
鉄やアルミニウムのように熱伝導性が高い材質では、加工部位、切削器具の摩擦熱がすぐに被加工物へ逃げ放熱してくれてるため、こうした問題は起こりにくいのですが、チタンのように熱伝導性が低い金属では被加工物、切削器具もろとも熱が溜まり過熱してしまいます。このためチタンやステンレスのように熱が逃げにくい材質では、加工時に大量の油をかけ、熱発生部位を冷却する必要があります。加工されたものを製品として仕上げる研磨工程では、熱伝導性の悪さに加え、表面に形成される強固な酸化皮膜が作業を難しくしています。

様々な分野で活躍するチタン

須山歯研のチタン鋳造

チタンの物性的特徴でまず浮かぶのが、鉄など金属と比べ質量が軽いこと。比重は銅の約半分、鉄と比較しても約60%で、近年では軽さが求められる製品、レーシングカーの車体やゴルフクラブ、登山用品などに利用されています。
 
軽さと強度は通常両立しにくいファクターですが、チタンは鋼にも勝る高い比強度(重さあたりの強度)を有しています。たとえば異なった二つの材質で同じ強度を持つ板を作った場合、チタンでは他の板材に比べ少ない厚みとすることが可能です。単に質量が軽いというだけではなく、同じ強度のものを薄く作ることができるということが、チタンの大きな特色と言えるでしょう。
 
物理的強度と合わせ、酸化皮膜の形成により薬品など酸への耐性が高く、同様の用途に多様されるステンレスと比較しても高い耐食性を誇ります。各種塩化物溶液、中性溶液、アルカリ溶液他様々な腐食媒体の存在する環境、化学プラントや船体、橋脚といった用途に用いられ、火力・原子力発電所でもチタン製タービンブレードが利用されています。
 
この耐食性の高さは、生体に対しても非常に高い親和性を示します。口腔内のように常に唾液が存在し、安定性が最優先される歯科用材料においても、イオン溶出、ガルバニック電流が発生、金属アレルギーなどにつながる場合がありますが、純チタンを利用した歯科技工物では強固な酸化皮膜によりイオン溶出が起こらず、優れた生体親和性を示します。人工関節や歯科インプラント・義歯床など、長期間体内に留置されるこうした製品において、チタンは広く利用されるようになりました。
 
近年黄色ブドウ球菌による食中毒などが報道され、抗菌材料への感心が高まっていますが、紫外線下での光触媒作用によるチタンの抗菌材料としての応用が注目されています。抗菌チタンはほぼ純チタンと同様の素材で、99%以上の純度ですが、合金組成として貴金属系元素が添加されています。