3/1〜3/31

3/29


夜は渋谷WOMBで行われた「Macromedia presents LiFE* with Technology」に参加させていただきました。この「LiFE* 」はご存じの方も多いかと思いますが、静止画を大変簡単な操作で、単なるスライドショーとは異なるクールなムービーとして作成することができるソフトウェア。

昨年のAUGSTで、「でかい うすい だから ... Ti! 」のかずみちさん(お世話になっております!)によるデモで、大変興味を惹かれたのですが、ようやく本日発表された「LiFE* with PhotoCinema X Apple Special Edition」を入手。明日あたり、自宅にこもって早速遊んでみようかと・・・。

イベントに先立ち行われたプレスリリースでは、株式会社デジタルステージ代表取締役の平野氏によるプレゼンテーションが。

短いプレゼンテーションの中、デジタルカメラの撮影からムービーの上映まで、あっと言う間に作業が進みましたが、操作は大変シンプルで、アップル社iPhotoとの連係も緊密に。様々なプリセットからクオリティーの高いムービーが完成しました。

スペシャルゲストとしてはアップルユーザー代表兼ミュージシャン、原田氏が登場(笑)。Lifeのミュージックファイルにご自身の作品を提供されているとのこと。

そしてマクロメディアCTO、田中氏が壇上に。米マクロメディア社にてLife*を紹介した際に、「英語版はあるのか?」との聞かれたとか。マクロメディア社の技術を元にした日本発のソフトウェアが大きく評価され大変気持ちの良い思いをしたとのエピソードも紹介されました。

会場2Fには、アップル製品とLife*のデモコーナーも用意。PowerBook G4 17"も展示されていました。

こちらが本日発表となった「LiFE* with PhotoCinema X Apple Special Edition」。このバージョンはOS X版のみの提供iPhoto、.Macとの緊密な連係が実現しています。

プレゼンテーションの中で、ソフトウェアに関する株式会社デジタルステージ代表取締役、平野氏の考え方がご本人より語られましたが、誰もが持つ共通のデバイスとしてデジタルカメラを捉え、現在のテクノロジーとアイデアでリアルな夢を実現するというお話、Life*のデモンストレーションとともに興味深く聞かせていただきました。

LiFE* with PhotoCinema X Apple Special Editionはアップルストアのみの限定発売で、30日午前1時から販売開始とのこと。iPhotoに画像ストックが満載という方には、かなり楽しめるソフトではないでしょうか。

 

PowerBook G4 12"でハードディスク交換の際に面倒なキートップの取り外しですが、試しに工具を作ってみたところなかなか使えました。

ブラザーのラベル印刷機についていたメンテナンス用のプラスチックバーをエンジンで削ってみました。構想1分、製作5分(笑)。

PowerBook G4 12"、ファンクションキー部のキートップは右側がコ型の溝にパンタグラフにある突起が横方向から差し込まれ、左側は縦方向にパチンと留めるようになっています。この左側の噛み合わせを側方から差し込んで縦方向に力をかけるため、テーパー状の形態とし、差し込みやすくするためライターで曲げました(とほほ)。

ファンクションキーの右側を軽く押して左側を浮かし、上下方向で中央部にくるように差し込みます。

そのまま差し込んでいくと、左側の留めが外れ、右側をヒンジに取り外すことができます。

ネジ数は多いものの、キートップが外れてしまえば比較的簡単なPowerBook G4 12"のハードディスク交換作業。こんな棒が一本あると便利かもしれません(笑)。


3/27


PowerBook G4 17"の冷却ですが、プレート状のヒートシンクかと思いきや、裏面には極太のヒートパイプも。底面から吸気し、後方排気というスタイル。ヒートパイプは左右ファン吹出し口のフィンに繋がり、ここで熱交換が行われます。

発熱源裏側に巡らされたヒートパイプ。ボトムケースとの間にはエアフローのためのスペースが設けられています。

ヒートパイプはファン吹出し部のフィンに繋がり、内部に滞留した熱の排気とあわせ、熱交換が行われる模様。

負荷をかけて紙箱の上で動作させたところ、ファンが回転しましたが、動作音はかなり抑え目でした。ファンのケーブルは3芯でしたので、回転数変化があるかもしれませんが、手元の機体では左側のファンだけ回っていたような・・・。


3/26


新PowerBook G4シリーズ発売記念・アンケート&プレゼント企画に、沢山のご参加をいただきありがとうございました!2000通を越えるご応募をいただき、これより集計作業に移りたいと思います。なるべく早くアンケート集計/プレゼント抽選結果をご報告できればと・・・。

 

写真を撮り直し、PowerBook G4 17" ハードディスクの交換手順を簡単ではありますがまとめてみました。


3/25


ご存じMedical Macintosh、山本先生による「PowerBook G4 17-inch 〜 peeking inside」が早くも公開されています。レポート第一弾ということで、ハードウェアを中心とした内容となっていますが、17インチの購入を検討されている方は、同レポートとあわせて、Medical Macintoshのサイトチェックをお忘れなく。

 

PowerBook G4 17"がようやく到着。ハードディスクの積み換えのため、開いてみましたが、PowerBook G4 12"に比べると、大変メンテナンスがしやすいといった印象が(イメージをクリックすると拡大画像が現れます)。

底面のメモリスロットが収まるカバー。バッテリーを取り外しビス3本を抜けばアクセス可能。

PowerBook G4 12"では、キーボードの取り外しに苦労しましたが、17インチではかなりハードディスクへのアクセスが簡単になっています。

パームレスト側にトラックパッド、キーボード、電源スイッチなどのシグナルが一括となっており、パームレストを固定しているネジを取り外せば、フィルムケーブルを一つ外すだけで、パームレストごと取り外しが可能です。

マザーボード、ハードディスク、光学ドライブといったコンポーネントが現れました。

光学ドライブとして搭載されるSuperDriveは、松下寿社のUJ-815-C。

冷却にはSunon社「GC054007BX-8」が左右に2台搭載されます。

PowerBook G4 17"マザーボード。搭載されるCPUはMotorola社Power PC 7455A。コアの表記は「XC7455A RX1000YF 93L64M QDR0252A」。グラフィックチップはnVIDIA社「Ge Force4 440 Go」。

冷却はこれまでのヒートパイプ方式は廃止され、発熱源は下向きにセットされています。その下はプレート状のヒートシンクとなっており、プレート左右にファンを設けるといった構造に。

こちらはマザー裏面。右上にはキーボードイルミネーション用と思われる光センサーが。

キーボード右手裏には、LED2発がテープでくるまれた状態でセットされています。このあたりのLEDを変更するといったあたりの改造もアリか?(笑)

LED先には、各キーに繋がるグラスファイバーの束が。

キーボードはパームレストと一体式。このため、キーボードだけ後日交換という可能性は極めて低いかと思われます。

ハードディスクは富士通「MHS2060AT」がインストールされていました。

バラす理由にと、手持ちの東芝「MK6022GAX」とスワップ。

内蔵電池は右手I/OポートのUSBポート下にセットされています。

分解しハードディスクにアクセスするのは、ステップ説明が不要な程(というより写真を取り損なったという話も、笑)、明解です。バッテリーベイを外した状態で、外から見えるビスをすべて外し、メモリスロット部にあるフィルムケーブルを外せば、パームレストを取り外すことが可能。今後登場する大容量ハードディスクのスワップも、ユーザレベルでしやすくなるのではないでしょうか。

マザーボードを外す理由はありませんが(笑)、こちらについてもネジ種が大変シンプルで、特にメモも取らずにバラしましたが、問題なく組みあげられました。

とりあえずハードディスク交換にかこつけた分解はここまでとして、使い勝手他につきましては、今後更新を・・・。


3/24


Quantum社Fireballシリーズのコントロール基盤ブローによるiMac他PC本体の起動不可トラブルについて、現在Quantum社製品のサポートを行われている日本マックストア社様に、不良の発生したハードディスクとともに、次の質問を送らせていただきました。

1.Fireball CX/lctでの「TDA5247HT」ブローアップの発生頻度と予防策、ブローアップ後のデータサルベージ方法の開示。

2.「TDA5247HT」、「AN8428GAK」搭載制御基盤のコンパチビリティー情報の提供

3.搭載される各社コンピューター/機種の開示

4.トラブル発生時の日本マックストア社の対応方法の開示


いただいた回答では、1、2に関しては現在お答えしかねますとのこと。こちらで確認した範囲では、発生頻度は決して多いわけではありません。時期的には夏場に多いようで、高温多湿といった条件がある程度この問題に関与しているのかもしれません。

予防に関しては残念ながら方法は無し。該当ハードディスクを利用されている場合、定期的なバックアップをされることが望まれるかと思います。

データサルベージについては、同型ハードディスクのコントロール基盤を入手の上、不良が発生したカードと交換することで、ディスク本体に問題が生じていない場合は復旧可能。しかし不良発生の際、ディスク本体にもなんらかのトラブルが発生することもあるようで、こうしたケースではマウントできない、マウントしてもファイルのブラウジング中に読み込みができなくなるといったこともあります。データサルベージをせずに、マシンの起動復旧のみを行う場合は、ハードディスクの交換のみで対処が可能です。

「TDA5247HT」、「AN8428GAK」と、ボードに搭載されているチップについてですが、このトラブルは前者で発生しておりますが、後者でのトラブル報告は見たことはなく、手持ちのlctで試してみたところ、どちらのチップが搭載されたボードでも利用が可能でした。ただし数的には「TDA5247HT」搭載のものが多いようです。

3の搭載される各社コンピューター/機種については、日本マックストア社から開示することは出来かねるとの事。アップル社ですとiMac Rev.E移行で6GB〜20GB容量の機種に利用されているケースが多い模様。しかし単一ハードディスクだけでなく、各社/角シリーズのものが利用されているため、本体機種による特定は難しくなります。

同時期に発売されたDOS/Vマシンでも広く利用されており、IBM社APTIVAシリーズ、日立フローラ/プリウスシリーズで、トラブルの報告がある他、他社でも広く利用されているようです。

4のトラブル発生時の日本マックストア社の対応方法については、保障期間内の故障でHDD単体購入の場合は、日本マックストア社製品の販売代理店が対応し、PC等のセットで購入した製品に含まれるHDDに関しては、そのセットメーカーが対応することになっているとの回答でした。iMacでハードディスクの故障が発生した場合には、修理他対応は、日本マックストア社ではなく、アップル社が行うという形となります。

元々アップル社への修理依頼で、費用が高額となること、データのサルベージが不可能なことから、トラブル発生事例を調べておりましたが、現状では正規保証の範囲においてはこうした状況は変わらず、ハードディスクの単体トラブルであっても、現在の本体価格を上回る出費を覚悟する必要がありそうです。トラブル発生前にハードディスクを交換してしまうのも手ではありますが、この作業自体が保証外のものとなるため、万人にお薦めできる方法とも言いづらく、また同ハードディスクでのトラブル発生率も計りかねるため、現時点での対処方法は、こまめなバックアップ作業となりそうです。

このトラブルで起動できなくなったiMacをこれまでヤフーオークションや中古ショップで目にしておりますが、同様のトラブルに遭遇された場合、まずアップル社製品であれば、サポートに修理見積もりを取り、故障箇所の特定を行った後、ハードディスク交換であればご自身でハードディスクを交換するというのが、経済的な復旧方法になるかと思われます。

データサルベージに関しましては、交換部品の入手が困難な状況となっているため、ヤフーオークションで動作確認済みの同型ハードディスクを探されると良いでしょう。この場合はデータのサルベージを行った後は、ハードディスク自体も交換されることをお薦めします。どうしても同型ハードディスクが入手できないといった場合には、手元に交換用基盤がありますので、一時貸出しといったことも可能です。

富士通社ハードディスクで発生したハードディスク不良/リコールと同様のトラブルではありますが、現時点でそのような対応は無いようですので、該当機種をご利用の場合には、バックアップをお忘れないよう・・・。


3/22


19日に4月上旬の出荷が伝えられたPowerBook G4 17"ですが、先程アップルストアより来たメールでは・・・。

以下の商品を 2003/03/22 に発送いたしました。(カスタマイズ製品につきましては海外の工場から発送しております。また商品の到着は配送地域によって異なります。)

製品番号 製品名 数量

________________________________________________________
Z05M01MA1 PBG4 17.0/1GHZ/512/60G/SD/AM/BT/KB-US/J 1
この製品は以下のシステム構成となります:

Processor 065-3719 1GHz PowerPC G4
Memory 065-3722 512MB DDR RAM - 1 DIMM
Hard Drive 065-3716 60GB Hard Drive
Optical Drive 065-3718 Super Drive
Country Kit J065-3713 Country Kit/AirMac Card
Keyboard/Mac OS Language JA065-3712US Keyboard & Mac OS J



かなり早くなった納期案内ですが、うーん、やはりいないかも・・・(笑)。


3/19


1月のMacworld Expo San Franciscoにて発表され、発売が待たれるPowerBook G4 17"ですが、アップルストアより先程残念なお知らせが・・・。

さて、ご注文いただいたPowerBook G4 17インチモデルは、現在のところ4月上旬までに納品予定となっております。皆様のお手元へお届けすることが当初の予定より遅れてしまいますことをご報告申し上げます。

現在、少しでも早くお客様に製品をお届けできるよう、手配を進めておりますが、出荷の遅延について心よりお詫び申し上げるとともに、お客様には、納品まで今しばらくお待ちいただけますようお願い申し上げます。出荷の際には改めてお客さまに再度ご案内を差し上げます。



うーん、いないかも知れません・・・(笑)。


3/15


Photoshop 3専用機として利用しておりますPowerMacintosh 7300ですが、I/O系の対応のため、対策が必要となるのがホストアダプタ、USB、100Mイーサー、グラフィックカードといったあたり。しかしPCIバススロットは3本のため、これまではイーサーをマザーから取っておりました。

ホストアダプタとUSBのコンボとなると、SonnetのTempo Trio(FireWireポート含む)などがありますが、価格的にちょっと高め。先日Matheyブランド(株式会社デンノー)のコンボカードを見つけ、インストールしてみましたが、これがなかなかよさそうです。

Mathey「3×FireWire/3×USB2.1/1×LAN(10/ 100BASE-T) Combo PCI拡張カード」と、激しく長い製品名ですが、その名の通りFireWire/USB/イーサーを合わせ持つコンボカード。

スロットフルとなったPM7300。PCIスロットにはコンボカードに加えホストアダプタとATIのRAGE128が。CPUはBUFFALOのG4/450が刺さり、OS 9上でPhotoshop 3を動かすには大変快適。

ハード/ソフトの両面でOS Xへの移行が進み、OS 9環境では今後厳しいという声を良く聞きますが、やはり作業によってはClassicではないOS 9が必須の現場も。かといってそうした現場で必ずしも新しいハードやソフトを必要とする訳でもなく、折角の手持ちを末永く使い、それ以外の作業はOS Xでというのが現実的でしょうか。

OS 9の開発が止まってしまった件については、あれで完成型と考えれば、煩雑なアップデート作業に悩まされない分ありがたいかも・・・。個人的にClassicではなくOS 9でないとという作業はPhotoshop 3のみですが、OS X上で使っているPhotoshop 7とはケタ違いに速いです(笑、7を使いこなせないだけですが・・)。

そのような際にPCIスロット数が限定されるマシンでは、こうしたコンボカードは大変ありがたいところ。個人的にはPCI/PDS/NuBusあたりでイーサーとUSB、これにホストアダプタを持つ低価格コンボがあると、かなり助けられるマシンはあると思うのですが・・・。


3/13


PowerBook用アルミインナーケースでお馴染みの舘林製作所様より、発売が予定されているPowerBook G4 17"用ケースのサンプルをお借りいたしました。(ありがとうございます!)

これまでPowerBook G4 15インチで利用し、堅牢性と軽量/占有スペースのバランスが大変良く愛用していた舘林製作所製アルミインナーケース。今回サンプル品ということで、17インチ用モデルをお借りいたしました。お借りしたケースは、薄めのブロンズ色で仕上げられており、高級感も兼ね備えています。

サイズを比較するとこの通り。まだ現物がなく、仕様寸法からの製作になるため、製品版では若干ディメンションに変更があるかもしれません。

厚みはほぼ同様ですが、サイズ変更に伴いヒンジが中央部に一つ増設され、ヒンジ自体も少し大型のものが利用されていました。

ロック部はこれまでの丸型ケース同様のものが採用。かなりタフな作りになっています。

後ろが散らかっておりますが(笑)、最大開口角はご覧の通り。電車の中でもケースに載せたままで作業可能。

上下の接合部にはモールが彫られ、気密性とねじれ方向に対する強度の確保がされています。

サンプル版に用意されていたハンドル。これまで利用していた15インチ版はインナーとわりきりハンドルの無いタイプを選択しましたが、しっかりとした作りのハンドルを見るとこちらもなかなか魅力的に・・・。

試しに15インチをセットしてみましたが、やはりこれくらいは大きくなる模様・・・(笑)。

最終製品はアップルからPBG4 17"がリリースされた後、再度の寸法確認を経て製作されるとのこと。コスト的な点はもちろん、やはり巨大ノートブックの移動となると、ある程度しっかりとした鞄やケースが必要に。

現在The North FaceBase Camp Duffel」をリュックがわりに利用しておりますが、鞄自体に対ショック性を期待できず、根っからのずさんな持ち歩き方法ゆえ、インナーケースが必須に。現在の15インチモデル同様、本体価格5%の保険として利用予定です(笑)。

毎日持ち歩くには非常識に大きなThe North FaceBase Camp Duffel」。17インチケースもバッチリ飲み込んでくれました(笑)。

 

以前から散発的に発生しておりますQuantum Fireball一部シリーズでのトラブル。いくつかサンプルが手に入り、検証をしておりましたが、いくつか分かった点を。

何度かこちらでも記載をいたしましたPhilips社TDA5424HTは、ディスクを回転させるスピンドルモーター、リード/ライト・ヘッドの位置決めにをするボイスコイル・アクチュエータの制御と駆動を行うコンボICのようですが、この特定ピン部(DC8C/DC12V)がブローし、ハードディスクの動作がしなくなるという問題が散発していました。このチップを持つQuantum Fireballシリーズは以下の通り。

モデル 製品名 容量
CX Fireball CX 6.4 / 10.2 / 13.0 / 20.4
LA Fireball lct08 4.3 / 8.4 / 13.0 / 17.3 / 26.0
LB Fireball lct10 5.1 / 10.2 / 15.0 / 20.4 / 30.0
LC Fireball lct15 7.5 / 15.0 / 20.4 / 30.0

詳細はSoftcom Trading & Electronic Engineering社サイトをご参照下さい。

Quantum社Fireballシリーズ。右はlctで左がCX。

ブローの発生はお知らせをいただいた情報と手持ちHDDの中では圧倒的にlctが多いため、ヘッドとのシグナル/ボイスコイル・アクチュエータへの電圧経路の差(lct:接点/CX:フィルム)がなんらかの原因かと思ったのですが、CXにおいても同様箇所のブローが生じています。またチップブロー箇所はスピンドルモーターへの電力供給部となっているようで、lctとCXの間に有意な差は認められませんでした。

該当するチップPhilips社TDA5424HTのブロー例。左の二つが比較的多いようですが、中には右写真のようなものもありました。

これらの製品にはPhilips社TDA5424HTに替えてPanasonic社AN8428GAKが利用されているものもあり、手持ちで確認した限りでは、これらはコンパチのようでした。またPanasonic社AN8428GAKが搭載されたハードディスクでは、調べた限りではブローによるトラブルは発生していませんでした。

これらのハードディスクは時代的には1999年夏頃から利用されており、アップル製品ではiMac Rev.E以降で同容量のマシンに搭載されているケースが多いようです。ブローは停電や落雷といった外的要因とは関係なく、お知らせをいただいた中では「いつも通りに電源を入れようとしたら起動せず」というパターンで、数的には夏場に集中している模様。

この問題を抱えたマシンでは、単にドライブが読み込めないというだけではなく、マシンの起動ができなくなるという場合があり、これまで修理をしたアップル社のマシン(すべてiMac Rev.E)では、ハードディスクの交換を行うことで起動不可状態から復帰しました。

ハードディスクのデータサルベージについても、ハードディスクコントロール基盤の交換でかなりの割合で認識/復旧をすることができましたが、不安定状態で使用されていた機体は、その間データ自体の損傷があるようで、マウントはできてもデータのサルベージはできないというケースも。

だいぶコレクションが増えてきた(笑)Quantum Fireball。

Windowsマシンでも日立フローラ/プリウス、IBMアプティバといったシリーズにて同様のトラブルが発生しており、またこれら以外のブランド/シリーズの機種にも同型のハードディスクが利用されています。またバルク扱いで販売されていたため、自作機で利用し、同様のトラブルに遇われた方もいらっしゃるようです。

マシンの復旧であれば、ハードディスクを交換し、システムを入れ替えることでかなり高い確立で解決することができるようです。この場合は同型のハードディスクに積み換える必要は無く、現在流通しているIDE 3.5インチのタイプであれば、120GB容量までの機種(iMac Rev.Eの場合)を利用することが可能です。

メーカー修理の場合はこの方法となるようですが、以前アップルに修理依頼をされた方の見積もりが7万5千円と高額になるため、修理を諦め本体をジャンクとして放出される方もいらっしゃるようです。もう少し安価な設定になっていると良いのですが・・・。

ハードディスクのデータサルベージになると、良品からコントロール基盤を外して故障品と入れ替える必要があります。これまで中古市場などでFireballを探していましたが、ここのところかなり数が少なくなってきているようで、入手は困難かもしれません。またCXとlctでは基盤に互換性が無いため注意が必要です(基盤番号は前者が10-120217-01 REV A、後者が10-118171-07 REV C)。

現在国内での入手方法として便利なのが、ヤフーオークションの利用となります。同型のハードディスクは比較的安価で取引きされていますので、これを落札して基盤を交換するのが、最も現実的な方法かも知れません。もちろん取引きに際してはこのような用途を前提にしていることはほとんどありませんので、基盤番号の確認やコンパチ情報を求めるのは無理かと思われます。ハードディスクの型番をご確認いただいて入札されるのが良いでしょう。

海外ではハードディスクのコントローラー基盤を扱われているところがあり、ウチではマレーシアのSoftcom Trading & Electronic Engineering社にお願いをいたしました。発注は英文メールでのやり取りとなり、注文単位は一枚より可能。入金がWestern Union Money Transferを用いた海外送金となるため少々面倒ですが、それ以外では問題なく入手することが可能でした(あとはコスト的には割高になってしまうのですが・・・)


3/11


現在サイトデータをsuyama.co.jpからsuyama.jpへと移行を進めておりますが、これに伴い一時アクセスができない、デッドリンクの発生といった可能性がございます。しばらく経っても表示がされない、リンクが繋がらないといった点がございましたら、お知らせをいただければ幸いです。


3/6


時期的に大幅にずれてしまい、すでに記念的要素が無くなっておりますが(笑)、Macworld San Francisco 2003開催と新PowerBook G4シリーズの登場を記念し、アンケート&プレゼント企画を・・・。

今回のアンケートはノートブックに関して。プレゼント物件はアップル本社のカンパニーストアで入手したグッズを中心にご用意いたしましたので、お手すきの際にでもご応募いただければ幸いです。

クロック クリップ カードケース キーリング(丸型)

ロック(かんぬき型) ロック(ワイヤー型) ステンマグカップ ノートブック

ペンシルセット ランチボックス ロングスリーブTシャツ ボトルクーラー

PBG4 17"ポスター iPodポスター キーリング(角型) ボールペン(タンジェリン)

ボールペン(グラファイト) ボールペン(インディゴ) ボールペン(セージ) ボールペン(ストロベリー)

San Francisco Expoの折、出かけたアップル本社のカンパニーストアにて調達したアップルグッズ(一部謎物件あり)。奮ってご参加下さいませ!


3/3


3月3日はひな祭り、しかし仕事の関係となると「耳の日」に(笑)。たまには専門の話を書いてみましたが、音楽がお好きの方であれば、少しは参考になるのでは・・・(だと良いのですが)。

 

音が構成する二つの要素

耳の役割は「音を聞く」ことですが、音には大きく分け、二つの要素があります。一つは音の高さ、つまり周波数と、もう一つは音の大きさ、つまり振幅です。人間の耳はこうした情報から、言葉やその他の音声情報をキャッチしますが、耳にも聞くことができる守備範囲があります。

人間の耳は20Hzから2万Hzという周波数の音がキャッチできますが、それより下、それより上の音に関しては聞くことができません。大きさについては0dBから120dB強の音までをカバーします。これより大きな音、例えばジェット機のエンジン音などを聞くこともできますが、こうした音は不快感を伴うだけではなく、聴力にとっても悪影響を与えます。この「聞くことができる音の範囲」を「ダイナミックレンジ」と呼びます。

 

ダイナミックレンジと内耳の機能

一般生活の中での音は、ほとんどがこの音の高さ、大きさの中に入っていますが、耳が音をキャッチする内耳の「内有毛細胞」には、もともとはそれほど広いダイナミックレンジはありません。これを同じく内耳にある「外有毛細胞」の働きで、伝えられる音の種類と大きさにより、適宜感度調整を行うことで、大変広いダイナミックレンジを得ています。

この感度調整機能は単にダイナミックレンジを広げるだけではなく、音の内容によってもその感度を瞬時に変更します。例えば乗ったばかりの頃はやかましい地下鉄の騒音も、すぐに耳に鳴れ、座席に座れば居眠りをすることもできます。一方静かな部屋の中で動く時計に注意を向けると、これまでは気が付かなかった秒針の音が聞こえてくるという経験をされたことがあるのでは。

この感度調整という内耳外有毛細胞の持つ機能は、様々な環境に適応したり、危険をすばやく察知するといった上で、大変重要な役割を果たします。この機能に加え、左右の耳が協調し、視覚や自分が持つこれまでの経験といった様々な情報を駆使することで、地下鉄の車内でおしゃべりを楽しむように、騒音の中から自分の必要な情報を拾い上げるといった作業をも可能にしています。

感度調整について見てみると、音が小さい時には感度を上げ、ちょうど良い時には感度を変えず、大きすぎる時には感度を落とすという作業を、外有毛細胞はそれぞれの周波数により常時調整を行っています。これにより脳へ伝えられる情報は、いつでも最適な大きさになるよう、整えられているのです。

 

難聴と内耳の感度調整機能

難聴は伝音性難聴、感音性難聴に大別されます。前者は外耳・中耳という、音波・振動として音を伝える部分に生じたトラブルによる難聴で、後者は音の内容をキャッチする内耳に生じたトラブルにより起こります。

いずれの場合にも小さい音が聞こえにくくなるという問題が起こりますが、伝音性難聴はちょうど耳を塞いだ時に感じる聞こえにくさであり、音を大きくすることで、かなり本来の聞こえ方に近付けることができます。

一方感音性難聴には、二つの問題が生じます。ひとつは音をキャッチする内有毛細胞に問題がある場合には、大きくした音の内容をうまく理解することができないことがあるという点です。内有毛細胞の機能が低下しているのであれば機能低下分を補うことで、良好な聞こえを得ることができますが、内有毛細胞の機能が失われている時には、ちょうどピアノの鍵盤で特定の音が出ないといった状況になり、音はするけれど何を弾いているのかわからないという問題も。

もう一つの問題は感度調整機能について。感度調整を行う外有毛細胞は、入力される音の大きさにより各周波数帯の感度を調整しますが、この外有毛細胞に機能低下があると、感度調整がうまくいかず、小さい音が聞こえづらいのと同様、大きな音は大変うるさく感じてしまいます。これは感度調整が不十分なため、ダイナミックレンジが狭くなることが原因で、補充現象(リクルートメント)と呼ばれる現象です。

 

補聴器の歴史

補聴器はラッパ型の集音機からスタートし、大変長い歴史を持っています。しかしその歴史を見ていくと、電気式の補聴器の登場する20世紀初頭までは、それらは単に音を大きくする道具でしかありませんでした。

こうした音を増幅するだけの補聴器でも、伝音性難聴にとっては大きな効果を得ることができます。現在でも聞こえにくい時に耳に手を当てるということを無意識に行いますが、これは手のひらの面積により集音効果を高め、一方注意を向けた以外の音を遮ることで、聞きたい音とそれ以外の雑音の比率(Sound/Noise比)を改善するという、極めて合理的な作業です。

しかし前述の補充現象を伴う感音性難聴では、小さい音は聞こえやすいものの、大きな音になると、大変うるさく感じてしまうという問題がありました。また装用するのにはいつも手で持っていなければならない、大変高額であったことから、限られた人、場所でのみ使われていたようです。

20世紀に入り登場した電気式補聴器も、当初はただ単に音を大きくするだけのものでした。しかしその後、聞こえやすい音と聞こえにくい音に合わせ、補聴器の音質を変えることができる回路が加えられました。これによりただ音を大きくするだけから、必要な音を選んで増幅するという、補聴器調整にとって大きな進歩が得られました。

また電気式補聴器では、「大きすぎる音」に対する対処方法も現れました。設定した大きさの音になると、音を歪ませることでそれ以上大きな音が出ないようにする回路が加えられ、突発的な衝撃音から耳を守り、様々な環境での補聴器装用をサポートするようになったのです。

 

補聴器は何をシミュレーションする?

補聴器はその名の通り、聴力を補うものです。小さい音が聞こえにくくなったのであれば、耳に届く音を大きくしようというのが補聴器の当初のアプローチでしたが、電気式補聴器の登場によりこれに聞こえにくい音と聞こえやすい音の選択が加わり、また大きすぎる音を抑制するという、本来は内耳や中耳の耳小骨連鎖が受け持つべき機能をも取り込むようになりました。

再度内耳の外有毛細胞が持つ役割を見てみると、この外から入ってきた音の大きさや種類によって、その感度を適宜調整するという「感度調整機能」は、これまで補聴器でシミュレーションのしにくいものでした。またこうした内耳が持つ働きが明らかになったのも比較的最近のこと。しかし補聴器の世界にも高速な計算処理が可能なDSP(デジタルシグナルプロセッシング)チップが応用されはじめ、人間が持つ内耳の機能により近付けることができるようになってきました。

 

アナログ・リニア増幅タイプ補聴器での出力抑制

感音性難聴でダイナミックレンジが狭小化している場合、外部からの音が小さいうちには、難聴で低下した聴力分を補う必要があるため、増幅の量は大きくしなければ聞こえませんが、音が大きくなった時には、音が小さい時と同じ増幅量では、補充現象により非常にうるさく感じてしまいます。これまでのアナログ・リニアタイプと呼ばれる増幅方式を持つ補聴器では、入力される音にかかわらず、設定した量の増幅を行うものでした。例えば10の音を増幅するという設定を行うと、1の音がマイクに入った時には11、10の音が入った時には20といった具合です。

しかし25の音になるとうるさいと感じてしまう方では、外からの音が15以上になると、補聴器をつけていられません。このような過大音に対応するため、音の大きさが25以上になったら「音を歪ませる」ことで出力を抑えるという「ピークカット」による対策が一般的でした。これは耳を強大音から守るという点では非常に有効な方法で、現在でも多くの補聴器で利用されています。しかしピークカットが効いている間は、音が不鮮明となり、耳障りの悪い音声となってしまうという弱点も持っています。

 

歪みを抑えた出力抑制・AGC-O

ピークカットの弱点を克服するため、ピークカットが効きはじめる前に、音の増幅を自動的に抑えてしまおうという試みが始まり、その結果オートゲインコントロール(AGC)回路が開発されました。これは当初補聴器のアンプで増幅した音が、設定値を越える大きさになった時、音を歪ませぬように増幅を抑える「AGC-O」として登場。これにより装用感の向上、様々な利用環境への対応という点で大きな進歩となりました。

AGC-Oは内耳外有毛細胞が持つ機能のシミュレーションを行う第一歩ではありましたが、入力音に対応して増幅を抑えるのではなく、あくまで補聴器から出力する際に増幅をコントロールするといったタイプのものでした。このため、難聴により狭小化したダイナミックレンジの拡大というよりは、出力する音の歪み抑制という色合いが強いものでした。

 

入力音により増幅量をコントロールするAGC-I

入力音に対応した増幅量コントロールは、マイクに入力された信号によりアンプの増幅量を変化させるAGC-Iの登場により実現されます。ノンリニア補聴器として紹介されたこの補聴器は、これまでのリニア補聴器が入力音と出力音の間に比例的な増幅関係を持っていたのに対し、入力音が小さい時には増幅を大きく、大きい時には増幅を小さくすることで、内耳外有毛細胞の持つ感度調整機能を補聴器に与える取り組みがスタートしたのです。

日常生活の音声情報で重要となるのが会話音。50dB〜80dBの大きさを会和音のレベル域と想定し、これより小さい音は増幅を大きく、大きい音なら増幅を抑えるといった手法が取り入れられるようになりますが、今度はその増幅量調整を音のもうひとつの要素である周波数といかにリンクさせるかが問題となりました。

 

マルチチャンネル・マルチアンプ

聴力の低下は、全ての周波数帯が均一に聞こえづらくなるというだけではありません。特定の音だけが聞きにくくなったり、高い周波数となるに従って聞こえなくなるといったように、難聴のタイプは様々です。こうした聴力の形に対し、全ての周波数を均一に増幅するだけでは、ある場合には元々良く聞こえていた部分がうるさく感じてしまったり、時にはうるさいからと抑制をしたために、肝心の音が聞き取れないという問題が生じます。

補聴器では特定の出力特性を持ったアンプに対し、回路上に抵抗を設け、その抵抗値により不要な周波数成分をカットするといった方法が取られてきました。しかしその調整範囲には限界があり、特殊な聴力に対応するためには専門モデルを必要とするケースも多々ありました。

音を複数の周波数域に分け、それぞれの周波数域について出力特性を調整するというマルチチャンネルは、最小可聴閾値を元にした聴力への適合を目指し開発がスタートし、これらの増幅を複数のアンプに行わせるマルチアンプ化と併せて大きな進歩を遂げることになります。しかし処理が複雑になればなるほど、従来のアナログタイプの補聴器では、信号経路延長による信号劣化や、ただでさえ小さな補聴器ゆえ、物理的スペースの不足といった問題も現れてきました。

 

プログラマブル補聴器の登場

これまでの信号処理はアナログ音声信号に対し複数の回路を経由し、その抵抗値を変化させることで設定を行ってきましたが、信号自体はアナログのままであるものの、回路を統合し音質調整を一まとめにしたプログラマブル補聴器が登場します。この補聴器では信号劣化と物理的スペースの不足のため限界にありつつあった補聴器の多機能化を一気に拡張することとなり、数値化された調整値は、補聴器調整の正確性を大きく向上させました。

 

プログラマブル補聴器からデジタル補聴器へ

プログラマブル補聴器は補聴器の調整幅を拡大する上で大変大きな転換点となりましたが、近年のデジタル信号処理技術が補聴器にももたらされると、その進化は更に進みます。

「音の感度調整」と「周波数特性への適合」をテーマとして進められた補聴器の開発は、「外有毛細胞のシミュレーション」、「内有毛細胞/骨導経路のシミュレーション」として、これまである意味別々の進化を辿ってきました。デジタル補聴器では「量子化した信号を計算により処理」しますが、これによりこの二つのファクターを同一に扱うことが容易となり、本来補聴器に求められてきた「内耳のシミュレーション」実現に大きく近付いたのです。

 

一体何が必要なのか?

こうして「内耳のシミュレーション」を行う上で、技術的には準備が整いつつあるデジタル補聴器ですが、ここで一度、なぜ補聴器を装用するかを考え直してみる必要があります。聴力に問題がなければ、補聴器をする必要がないことは言うまでもありませんが、感度調整を行う内耳の外有毛細胞に問題がない場合、補聴器に感度調整機能をシミュレーションさせる必要があるのでしょうか?

デジタル補聴器で利用されるDSPチップは、動作電圧が1.2Vと他のデジタル機器との汎用性が低く、ほとんどが専用設計です。このため、数十億と言われる開発費を割るための分母は、ほとんどが補聴器の製造台数となります。このため、1台あたりの開発コストが占める割り合いは大変大きく、性能は高いものの価格も大変高額という状況にありました。

このため、補聴器各社はチップの共同開発やOEMといった方法で、1台あたりの開発コストを下げるといった取り組みを行われています。現在チップ開発が可能な補聴器メーカーを中心に、企業の統合・合併がここ数年で活発に行われました。

これとは別に、デジタル補聴器を高付加価値商品と位置付ける戦略も、補聴器業界では広く見受けられます。これは業界内の販売台数が伸び悩む中、メーカーとしては開発費を製品に反映せざるを得ない、販売店としては売上を挙げたいという点で一致し、「補聴器ならデジタル」といったセールスが展開され、一台が30万円を超えるような高額補聴器を勧めるスタイルが確立します。

 

通信販売補聴器の台頭

補聴器はデジタル補聴器、デジタル補聴器は高額という図式が一般的となったカウンターとしてか、これまでも集音器として製品化されていた価格帯での低価格補聴器販売が活発となります。数千円から5万円程度と、大変購入しやすい価格設定で、購入も通信販売や電気店など、専門店に行かずとも手に入る手軽さから、購入される方も増加しているようです。

こうした低価格補聴器ですが、「安いから効果が無い」ということは決してありません。レディーメイドと呼ばれるこうした補聴器は、既製の型にボリュームといったベーシックな調整回路が組み込まれたタイプの補聴器で、初期の軽度難聴の方、聴力の低下が周波数で大きく変わらないようなケースでは、大変効果的に利用することができます。

 

補聴器の問題ではなく適応と販売方法に問題が

ただし出力が必要となると、耳穴からもれ出した増幅音を補聴器のマイクが拾って再度増幅を行うことで、「ピーッ!」というハウリング音が生じてしまいます。この問題はレディーメイドや、既製のイヤチップと呼ばれる耳せんを使う際に最も問題となる点ですが、聴力レベルはなかなか本人には分からないもので、使ってみたら「音が足りない」、「ピーピーいうだけ」といったことも。

補聴器メーカーが装用を奨める例として挙げる「家族にテレビの音がうるさいと言われた」、「話しても聞き返しが多い」というようなケースでは、すでに適応聴力を越えてしまっていることがほとんどです。

耳に合うかどうか、通信販売では使ってみるまではこれが分かりません。使ってみたら聴力に合わず、「通信販売の補聴器は全く役に立たない」という思いをされた方がいるかとは思いますし、またメーカーや販売店でも「安かろう悪かろう」とこうした補聴器を否定する声がほとんどです。

しかし実際にはそうした補聴器に責任はなく、適応しているかどうか分からないまま購入するというスタイルに原因があります。価格的には低価格な物は魅力的ですし、補聴器を買うにもどこに行けば良いのか分からないという場合には、通信販売も便利な方法です。

補聴器の購入に通信販売をお考えであれば、もし使ってみてピーピー鳴ってしまう、聞こえが改善されない時に返品・返金が受けられるのかをしっかり確認した上で利用する必要があります。ちょうど耳に合えば、手軽に補聴器を利用することができますし、残念ながら合わない場合にも、返品をして、ニーズに合った補聴器の購入を検討することができます。「安いものだから仕方がない」とは決して思わないで下さい。

 

低価格デジタル補聴器の登場

未だ高値安定が続いているデジタル補聴器の中で、普及価格設定のデジタル補聴器も登場してきています。価格のネックとなる開発コストの分母を増やし、既存デジタル技術の流用やこれまでは手作業工程割合の多かった製造のオートメーション化、製品ラインナップの統合といった取り組みにより、耳穴式補聴器では15万円を切り、耳掛け式補聴器では6万円台といった機種が登場しています。

こうした機種は上位機種に対しては機能こそ少ないものの、デジタル補聴器の特徴と言えるクリアな音質と幅広い調整域を持っています。価格も2、3年前のアナログタイプ補聴器と同等、もしくは低価格に設定され、本来の意味で「バランスの良い補聴器」と言えるかと思います。高額なデジタル補聴器でなければどうしても希望するような聞こえが得られないということもままありますが、まずはこのクラスを試されてからでも遅くはありませんし、まず7〜8割の方がこうした補聴器で適切な補聴効果を得ています。

 

補聴器は選択するものである

補聴器には聴力や環境への適合という点と、価格という全く別の要素があります。この二つは「機能」・「適応範囲」という観点からすると、「高機能で適応範囲の広いもの程高額」となりますが、これが「ユーザーのニーズ」という観点に立つと、全く異なります。ユーザーのニーズに合えば、補聴器の価格は問題になりません。

ニーズに合わなければ30万円を越える補聴器でも全く役に立ちません。またどんなに安い補聴器であっても、ニーズを満たさなければ補聴器とは言えず、「これは安いからものだから」といった理由は通用しないのです。

これに加え、ニーズ以外の機能を持つ補聴器も、価格が同じという場合を除き必要ありません。将来的な聴力低下や、利用環境の変化のために、ある程度の余裕は必要ですが、多機能な補聴器は全ての人には必要ありません。

 

いかにニーズを知るか?

とは言っても、「それじゃあ自分のニーズはこうである」と、補聴器を購入する際に言える人はいないでしょう。正直なところ、私も補聴器を販売していながら、来店された時に「これがぴったりです」と言うことはできないのです。

ニーズは聴力や使用する環境、現在不便を感じられている点、これまでの補聴器の装用経験や耳の疾患他履歴といったことから推察することはできますが、それが全てではなく、逆にそうした点は試聴機種を選択する上での補助的な情報でしかありません。ニーズを知る上で最も重要となる情報は、実際に使用する環境で試聴を行い、その結果をフィードバックしてもらうということにあります。

高額な機種であればある程、その機能をフルに活用するためには何回にも渡る試聴/調整ステップが必要となり、長い場合では半年位の時間をかけて、調整を追い込んでいきます。これは補聴器に内耳の持つ機能を肩代わりしてもらうため、様々な環境や聞き取るべき音に対し、補聴器を合わせていく必要があるからです。もしその補聴器がすぐにでも自分の耳にあったとしたら、補聴器が優れていると言うより、自分の内耳機能がしっかりと機能しているためで、そこまで高機能な補聴器を必要としないから。もう一つクラスを下げた補聴器を試されることをお薦めします。

一方補聴器に複雑な機能を必要としないケース、すなわち補聴器に肩代わりしてもらう部分が少ない機種では、元々自分が持っている機能を活用するため、補聴器への順応は短くなります。1週間〜1月をかけ、これまで休んでいた内耳機能を活発にするため、少し抑えた調整から、段階的に本来の調整へ移行するといった方法が効果的です。

これ以外にも特定の場所で使いたい、この音を聞きたいというように、ユーザーによりニーズは様々で、試聴することによりその方向性がはじめて明確になります。ユーザーだけではなくご家族やお友達など周りを取り巻く方の意見も、補聴器選択、調整にとって大変重要な情報に。カウンセリング、聴力測定、試聴を通じて、各ケースにおける補聴器に求められるニーズを見つけだすことが、補聴器メーカー、販売店、そしてユーザーの共通の利益になるのです。

 

と、書いてみて、あまりにマニアックな内容に我ながら閉口しましたが(笑)、意外と知られていない耳の機能や補聴器のこと、耳の日を機会に少しでも関心を持っていただければ幸いです(う〜む、よい耳ドットコムのコンテンツとして流用せねば・・・)。


3/1

札幌市・ホワイトキューブ札幌にて開催された、3月度北海道地区ユーザーグループ懇親会に出席させていただきました。

初の道内UG懇親会ということで、まずはお馴染み魚井先生よりAUGCの説明が。また北海道内ユーザーグループ、HMUGQTUGMOUGSMUGFMACSの各担当の方より紹介がされました。

今回のイベントでは、70%程がUGメンバー以外と、一般の方が多かったこともあり、ご存じ魚井先生より、AUGCに関し、活動や文化についての説明が。

一つ目のセッションはHMUG鷲見さんによる「アランケイが届けるOld Macの忘れ物ースクイーク」。1972年のダイナブック構想から生まれたAltoとSmalltalkよりスタートし、現在に引き継がれるプロジェクト「スクイーク」。これまで簡単なプログラミング環境といったイメージしか持っていなかったのですが、鷲見さんによる噛み砕いた解説とともに行われるプログラミング作業を見ると、単なる開発環境以上の機能的、また対象ユーザーに関し、大きなポテンシャルを知ることができました。

HMUG鷲見さんによる解説&デモは、直感的な「コンピューター環境」スクイークを知る上で非常に参考となりました。

グラフィカルユーザーインターフェース上でリアルタイムな制御と結果確認ができ、文法上のエラーを気にせずに開発を進めることが可能。アランケイの追い求める「理想のコンピュータ環境」として生まれたスクイーク、プログラムに興味がある方のみならず、今後のコンピューター動向が気になる方なら、一度サイトを覗いてみると良いかもしれません。

続いてはアップル社より新製品に関する説明が。内容としてはすでにアップル社サイトや、各メディアでも詳細が掲載されており、ご覧になった方も多いと思いますが、今回の目玉は初披露となるPowerBook G4 17"モデル。

さり気なくテーブルに置かれたPBG4 17"モデル。参加者の関心はもとより、アップル社内でも購入希望者の方が多い模様です。

PBG4 17"のみならず、AirMac Extremeに関しても詳しく解説が。ベースステーションついてはオプションの外部アンテナや、ワイヤレスブジッジなど、LANの範囲拡張法も紹介されました。またワイヤレスネットワーキングで最近話題となる、スピルオーバーによるセキュリティー問題ですが、トランスミッションパワーコントロールでワンルームだけカバーするように有効半径を縮小することが可能となり、同時に複数ベースステーション使用時の電波干渉低減という面からも説明がありました。

セッションごとの10分間のインターバルにできた人垣。そのお目当ては・・・?

国内初のお披露目となるPowerBook G4 17。画面サイズやスペックはもちろん、思った以上にコンパクト&スリムという点に注目が集まっていたようです。

サードパーティーからのプレゼンテーションとしては、宛名職人でお馴染み、アジェンダより、Ver.10のデモンストレーションが。新機能、1820文字の人名異体字のカバーは、「渡辺」さんに代表されるような漢字のバリエーションに幅広く対応。また書状にアクセントを加えるイラストも、これまででは用意された数万のクリップアートやイメージから選択するといった手法が一般的でしたが、3DXによる3Dイラスト製作機能により、シチュエーションやアイテムを選択して組み合わせることで、自由度の高い作品の製作が可能に。また年間での使用頻度を考慮し、なるべく操作を直感的に、ステップを用いた製作手順による裏面製作や、株式会社バンフーとの連係によるはがきネット注文機能までを加え、使い勝手と完成度を高次元でまとめあげたソリューションが紹介されました。

DMなどでも困るのが、宛て先の人名異体字。宛名職人Ver.10では、1820の人名異体字を外字で持ち、また別アプリケーションでの利用に関しても積極的に対応を進めているとのこと。

またact2からはOS Xネイティブドライブユーティリティー「Drive10」の製品デモが。またデスクトップユーティリティーとしては、作業内容により「ワークスペース」を切り替え、作業毎に違ったアイテムを登録アイコンとタブにより、より柔軟なファイルアクセスを提供する「work strip X」が紹介されました。

ハードウェアでは同社より指紋認識ソリューションー「Puppy Suite for OS X」が。現在はログイン時の認証のみとのことですが、近々キーチェーンへの対応も予定されているとの事。個人的には生産管理などの処理において、これまでは数字入力やバーコードに頼ってきた部分を、フィンガータッチによって実現されると有り難いのですが・・・。

act2、長谷川さんによる「Puppy Suite for OS X」のデモンストレーション。指紋認証は現在ログイン時のみ対応との事ですが、今後キーチェーンへの対応やその他作業者入力方法など、応用範囲に期待が。

MOSAからはデベロッパ且つユーザーグループとして、新居さんによるオープンソースなメール環境、「OME」の紹介が。データ自体とプロセスのコンポーネント化をテーマに、UNIX環境で行われるように1メールを1テキストファイルとして取扱うことで、ファインファーベースでのブラウシングとその他アプリケーションへの汎用性を確保。オープンソースとし、開発者の方が「自分の好きな仕様を作る」ことで、多様なニーズへの対応を模索するという、懐の広いアプローチが取られています。

使い馴れたテキストエディタをメール利用環境とすることや、そのアプリ自体が持つスクリプティング機能の利用、データベースソフトなどとの連動など、多様な活用方法の可能性を見ることができました。

MOSA新居さんによる「OME」のデモ。自分好みのメール環境を開発するというテーマを各開発者の方が持ち、多様性に飛んだバージョンがリリースされている模様。他のアプリケーションとの連動も今後楽しみなところです。

再度アップルからはソフトウェア新製品として「Keynote」の紹介が。3Dトランジションや多様なプリセットテーマ、美しくスライドごとの整合性がとりやすいグラフィック処理などが紹介されました。

日本語版も近々リリースされるKeynote。製品概要がデモンストレーションされ、英語版をすでに利用されている方に対してのアップデータによる日本語版化についても紹介も。

最後のセッションはQuickTime Users Groupによるストリーミングソリューションソフトウェア「Live Channel Pro」の紹介が。デジタルムービーコンテンツは、製作ツールとしては充実した環境にあるが、その公開手段としては、非常に限られており、CD-Rなどに作品をコピーして配布といった方法も、手間の問題があるという視点に立ち行われた座長、大久保さんによるデモは、手間の問題を可及的に解消し、再編集もリアルタイムに変更可能というLive Channel Proの特徴を活かした興味深いものに。デモ間に披露されたこれまでの作品紹介も、会場の笑いを誘っていました。

いかに製作した作品を「歯を磨くくらい簡単に」発表していくか、という点をテーマとしたQuickTime Users Groupのプレゼンテーション。取り上げられたLive Channel Proの機能概要と、実際のサーバ公開が、同UG大久保さんの軽妙なトークの元展開されました。

これら密度の濃い各セッションの他にも、ジャンケン大会やマシンの展示など、盛り沢山の北海道地区ユーザーグループ懇親会、5時間という長丁場にもかかわらず、参加者の方が最後までイベントを楽しまれ、その後に設けられた二次会にも沢山の方が出席されていました。次回懇親会もすでに6月に予定され、今後の活動が楽しみな北海道地区の各ユーザーグループ。道内でなかなか情報交換の場所が無かったという方にとっては、今後要チェックのイベントになりそうです。

(Keita Suyama : Chief Editor / Yes! We're Suyama Dental Lab)

 

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