歯科医院へのコンピューター導入

何を求めるか

パーソナルコンピューターの高性能化、低価格化とともに、歯科でもその導入が近年増加してきました。院内LANによるカルテ共有やこれまでに進化を続けてきたレセプト専用機。既存のシステムの良さは高機能と高い安定性です。

デンタルショーなどで各社から展示された歯科用コンピューターに興味を持たれた方も多いかと思いますが、高額商品のため「初期投資に見合った効果を得ることができるか」が問題となるのでは。

また簡単操作を狙った商品も登場しはじめましたが、高機能の裏返しで習得に時間がかかったり、時にはせっかくのシステムが稼動していないといったこともあるようです。

求める機能と導入のしやすさの接点を見つけることがポイント

また専用機として販売されているシステムでは、アプリケーションの追加などユーザーによる変更を推奨していないケースが多いようです。基幹システムとなっている場合、メンテナンス的な観点から仕方ありませんが、折角のコンピューターをインターネットやその他のアイデアへ活用できないのも勿体無いところ。パーソナルコンピューターですから、ユーザーが主役となるような利用方法も検討課題になるのではないでしょうか。

院内スタッフの方すべてが操作でき、習得にもさほど時間を要しないシステムが理想ですが、実際の業務で効果が得られる機能をどこまで与えるか。コストと機能のバランスについて、ハードウェアを中心にボトムアップで検討してみたいと思います。

まずデジタル画像ありき

パーソナルコンピューターを使用すること。これは情報を管理・保存することと同義と思われます。情報を蓄積して系統立てて管理する、データベースとしての使い道ですが、取り扱う情報の幅は診療内容から患者も個人情報、医療器機の製品情報や臨床画像とあらゆるものが対象となります。

その中からできるだけ多くのものを一元的に管理することができればよいのですが、どうしても煩雑になりがちです。

例えば患者名(患者番号)を軸に個人情報、カルテ、診療報酬請求、臨床画像を管理するためには、1.患者データベース、2.カルテデータベース、3.診療報酬請求データベース、4.保険点数データベース、5.画像データベースに加え、附随する各種情報ファイルの作成と情報のアップデートが必要となります。

システムとして販売されているものはファイル作成の必要こそないものの、データの追加とアップデートは必須となり、その作業にはかなりの時間を必要とします。

 

一元的な管理に必要となるファイル

カルテ管理ファイル、患者データベース、保険点数請求、臨床画像管理、保険点数データベースなど、数多くのファイルが必要となりますが、すでに現場では手書きや印刷物で達成されているものも多く、また保険点数などは必ず全体的な変更が伴います。

必要な情報をできるだけ取り入れれば、検索などでは威力を発揮しますが、あまり盛り込み過ぎてもその情報を入力する手間や、入力者ごとの記入方法、未記入項目の増加など、データベースの運用自体に支障をきたします。

 

現在診療室にコンピューターの導入を検討されているのであれば、こうした各種情報の中から的を絞ったものに関してデータベースを構築されてみてはいかがでしょう。そしてお勧めするものは臨床画像の管理となります。

 

既存のカルテ番号からコンピューター内の該当画像を引き出すことに用途を限定すれば、大掛かりな準備や変更を伴わずに導入が可能。これまでの資料もそのまま活用できます。

 

臨床画像を撮影されている歯科医師の方は沢山いらっしゃいますが、写真の管理はどのようにされているでしょうか。写真は診療経過の記録や過去臨床例の検討、患者に対する治療説明などで大きな説得力を持つ情報ですが、アルバム化などはどうしても情報検索や保管場所といった問題がつきまといます。特に整理する上で、時系列的な管理に限定されがちな傾向にあり、治療内容、患者別といった保管とそれら情報の関連づけは困難となります。

近年のデジタルカメラはパーソナルコンピューター同様、低価格化と高性能化が進み、メガピクセルと呼ばれるものでは印刷用途に耐え得る機種も登場してきました。またフラットヘッドスキャナも手頃な価格ながら高解像度のものが増え、既存の写真取込みも手軽になっています。

パーソナルコンピューターを電子アルバムとして活用するといったアイデアは新しいものではありませんが、歯科医療の現場では効果的に活用することができる優れた手段かと思われます。

デジタル画像に附随する情報

デジタルカメラで撮影した画像や、スキャナで取込んだ臨床写真を単に保管するだけであれば、これらは整理されていない写真の束と変わりありません。写真であれば裏面に撮影日、患者名といった情報を書き込むことになりますが、デジタル画像でもファイル名としてこうした情報を加えることが可能です。「H110101山田太郎01」といったものなら、撮影日と患者名を情報として画像に持たせることができ、後でファイル検索を行うことが可能です。

 

管理する方法により、診療年月日、患者名、症例の種類などの情報をファイル名に

 

次にフォルダを用いてカルテ単位の画像をまとめて保管することが考えられます。既存の手書きカルテの番号を用いフォルダ名として、その中に関係する画像を保存すれば、ファイル名を簡略化することもできますし、ファイル名をメモ替わりに活用することも可能です。フォルダ名「0001」、ファイル名「インプラント01」とすると、カルテと併せより多くの情報管理が可能となります。こうしたファイル名は個人的にも苦手でいい加減にしがちですが、ルールを決めて必ず行うことで、ファイルに相当の内容を与えることができます。

 

こちらは患者番号・名前を軸にフォルダ名をつけ、ファイル名にはカルテ番号を加える。

「#」など記号を付与するとフォルダなど同様の番号を持つ名称と区別され、後々検索が簡単に。

 

 

カルテ番号「#0101」で検索した結果。ファイルをシングルクリックすると下のように所在地が。ディレクトリ(フォルダ)名に患者名情報も含まれます。

またダブルクリックすれば、直接画像を展開することが可能です。

 

 

以上二つはデータ保存方法による情報管理ですが、より効率的な管理を行うのであれば、データベースを活用することとなります。

データベースではあるものに関する情報群の一つをレコード、その情報の種類をフィールドと呼びますが、データベース構築に際し検討を要するのがこのフィールドです。一枚の写真があったとき、その写真の撮影日、撮影者、使用機材、撮影条件といった撮影に関する事項、被撮影者、撮影者氏名、年令、性別といった撮影対象の情報、診療内容、注意事項といった臨床に関する記述のようなものがフィールドとして考えられます。

こうしたフィールドが多ければ、後に見直した時多くの情報が得られますが、その分入力時には時間と手間がかかります。なかでも診療内容などは歯科医師自らが入力する必要があり、キーボード入力に慣れた方でもかなりの時間を要することとなるでしょう。

カルテの完全なペーパレス化を目指すのであればともかく、従来の方法に付加する形を考え、必要最小限の内容にとどめ、必要に応じフィールドを拡張する方法が新規導入の際にはスムーズかと思われます。

カルテを中心に考え、軸とするのがカルテ番号、加えて患者番号用フィールドを用意し、これに「歯冠補綴」や「局部床義歯」といったおおまかな臨床内容を入力するフィールドを用意すれば、手間を少なくし、十分な画像管理ができるかと思います。


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