先日はeMac動作音の測定を行い、環境音全体でバランスを取るという方法を検討いたしましたが、やはりなんとか騒音を抑えたいというニーズがあるのも事実。eMacで利用されているファンは特殊形状のため、ボルトオンでの交換は難しいものの、12cm角25mm厚ファンを用いることで、比較的簡単に改造が可能です。
こちらが純正のファン。
なるべく静音ということで、山洋電気 「109P1212L403」を選択。1400rpm/24dBと、動作音としては大変静粛なタイプ。これは角形フレームですが、ヤッツケ作業でeMacファンのフレームに固定。
ファン取付け状況。うっ、シールを貼り直すべきだったか・・・。
アンビエントノイズがおよそ36〜8dB程度の自宅環境(エアコン他騒音源をオフ)でメトロポリスを試聴。あまり音量は上げなくても、ファンの音をほとんど意識せずに済んでいます。この状況ですと、隣で動きだしたPowerBook G4の音がかなり耳障りに・・・。
同改造がどのように行われたかが一目瞭然な画像。あまりにもヤッツケです(笑)。 オリジナルファンの駆動部を切り抜き、スワップするファンの駆動部を形態修正後、フレームに固定するという極めてヤッツケな方法ながら、目的は十分に達成。本体にセットしてみたところ、低域が少々残るものの、一般的なセッティングであれば、ほとんど気にならないレベルに動作音を抑える事ができました。
現在当サイトのWebサーバとして動かしているため、一日電源を入れっぱなしの状態ですが、若干匡体外皮上後方部での熱量が増えたものの動作自体には全く問題無し。熱量増加も僅かでした。
動作音抑制についても、ボリュームを抑えたDVD視聴などでは効果が顕著に現れ、ほとんどファンを意識することなく楽しむことができています。どうしてもファンのノイズが気になるという方であれば、試してみる価値があるかも・・・?
eMacの冷却ファンですが、匡体形状への適合と効率的な排気を行うため、フレーム自体が匡体の曲面にあわせたダクト形状をしております。このため、通常の角形ファンでは形態があわず、またフレームなし(リブレス)タイプを選択すると、匡体との隙間が生じてしまいます。
eMacでは匡体内の熱気を逃がすため、匡体を密閉し後方のダクトよりファンにて内気を逃がし、内部を陰圧状態にしてフロント下部(モニタ下)の吸気孔より外気を吸い込みます。ファン部に隙間があると、この吸気効率が大きく低下し、ファンの風量変化にかかわらず、冷却効率の低下を招く恐れがあります。
このため、ファンの駆動部分を、フレームとのブリッジ部を残して切り取り、オリジナルファンのダクト形状部を残します。その後、交換するファンを同様に切り取り、オリジナルファンダクト部に、ハンダゴテを用いて溶着するという方法をとりました。
ハンダゴテについてですが、用途といたしましてはファンフレームの切除、フレームと駆動部の溶着、ワイヤーのハンダ付けがあります。フレーム切除につきましては歯科用のハンドエンジンを利用いたしましたが、ハンダゴテでも先端にカッターを取り付けて、プラスチック素材を切り取ることができる機種があります(ヒートカッターという名称で販売されている模様)。
この切除作業は、糸ノコギリといったものでも十分代用可能かと思います。切除にあたりましては、交換するファン側の駆動部から伸びるブリッジ部を、できるだけ長く残しておいて、eMacファンのフレームに適合するよう、少しずつブリッジ部を整えていくと良いようです。
次に固定ですが、これはハンダではなくても接着剤・模型用のパテといった素材でも代用可能です。ハンダで行う場合には、ある程度ワット数の高いものが必要となります(私のものはHakko Junior/No.331という機種でしたが、こちらは100V/60Wとなります)。改造以後、ご家庭用の電気関係の作業であれば、この程度のハンダゴテが1本あると便利かと・・・。先端形状は角型の尖ったものが使いやすいようです。
ファンの位置出しはフレームへのフィンの接触を避け、駆動部がフレーム中央部にくるように固定します。またファンを机の上に置いた際に、机にフィンが接触しない前後位置に固定します(机の上に置いた状態でスムーズにファンが回ればOKです)。
最後の結線用ですが、こちらはハンダゴテとハンダが必要となります。少々線が細いものの、ハンダゴテは前出のものでも利用可能です。今後機器基盤など、精密機器系を扱われるご予定があれば、15から20W程度のもう少しワット数の低いものをご用意いただくのもよいかと思います。
これに加え、ハンダ付けの後処理用として、ケーブルの太さにあわせたシュリンクチューブ(ヒシチューブ)をご用意下さい。ハンダゴテをお求めの折りにあわせて購入されることをお勧めいたします(太さに種類があります。細めのものを選択して下さい)。シュリンクチューブが無い場合には、ビニールテープでも代用できます。作業にあたりましては、大きめの陶器皿などをご用意いただき、ハンダゴテの管理にご注意下さい。
オリジナルからボルトオンでスワップできないだけでなく、オリジナルのパーツ自体に手を加えてしまうため、同改造を行う場合は、残念ながらアップルのサポート対象外となってしまいます(ウチのマシンは並行輸入品のため、もともとサポートもないのですが・・・)。しかしファンノイズを抑制することを優先しますと、かなりの効果を得ることができました。
ファンの風量と稼動音は相反するファクターとなりますので、一概にどの機種がお薦めとは言えませんが、現在利用しております山洋電気「109P1212L403」につきましては、交換による急激な温度上昇といった問題は出ておりません。ファンメーカーサイトには動作音や風量といった機種毎のスペックシートを出しているところがありますので、このような情報もご参照下さいませ。
静音化のため先日ファンを交換しましたが、これにスポンジを音響抵抗としたフィルター取り付けを加えてみました。
オリジナルから交換(というのか・・・?)された山洋電気 「109P1212L403」。これだけでも静音化はかなり進みましたが・・・
フィルターを加えて高域音を抑制(か?) eMacはリアに配置されたファンで匡体内に陰圧状態を作り、画面下にある10個の穴からエアを吸い込みますが、こちらにも気は心的対策を・・・。
当初は空気導入孔に直接フィルタを設けるつもりでしたがスペースが少々デッド。そこでスピーカーユニット部のアルミパネルを剥がし
スリットにあわせてスポンジを噛ませてみました。 効果としては、先のファン交換が大きかったため劇的というものではないのですが、個人的には現在の状態ならほとんど動作音を意識することがなくなりました(もちろん音自体はしているのですが、笑)。近々また騒音レベルを測定し、オリジナルと比較してみたいと思います。
その後動作音を測定してみましたが、なかなかの静音効果が得られていました。
作業状態での頭の位置にて測定をしましたが、eMac他電子機器などノイズ発生源の電源を落とした状態で、アンビエントノイズは約33dB。この状態でeMacだけを作動させた場合には約43dBでしたが、静音化を行ったところ、34〜35dBにまで低減。
この位置でも測定をしてみましたが、結果は約40dB。設置スペース後方にある程度の空間を取っておけば、騒音抑制に効果あり。 聴感上も十分な静音効果を確認することができましたが、測定結果もそれを裏付けるものとなりました(フィルターについては設置前の測定結果がないため、効果の程は不明・・・)。
オリジナルファン自体に手を加えてしまうため、ちょっとお勧めしにくい改造ながら、それほど手間も費用もかからない上効果はなかなか。「どうしても動作音が」という方は一考の余地アリか?