新しいiMacで失望した点は? |
多くの魅力を持つ新iMacですが、「ここがこうであれば」、「やっぱりこうなったか」といった点も。設問3では「新しいiMacで失望した点は?」として、不満や残念な点をお聞きしました。
モニタサイズ・解像度 180
21.9%
拡張性 159
19.3%
ファン内蔵 159
19.3%
匡体の大きさ 122
14.8%
メンテナンス性 118
14.4%
価格 110
13.4%
モニタ外部出力 84
10.2%
デザイン 67
8.2%
ディスプレイ可動範囲 60
7.3%
匡体カラー 49
6.0%
OS Xのデフォルトシステム化 46
5.6%
ハードディスク容量 31
3.8%
クロックスピード 18
2.2%
総回答者数:822人/複数回答可とし、各項目の回答数と、回答数を総回答者数で割ったパーセンテージを表にしました。 新iMacにおいて残念と思う点のトップとなったのは「モニタサイズ・解像度」。新iMacを特徴づけている液晶ディスプレイですが、32MBのビデオメモリを搭載したNVIDIA GForce2 MXを持ちながら、解像度は1024×768と、旧iMacシリーズと同等に抑えられています。
15インチというディスプレイサイズを考えると適正な値ではあるものの、解像度についてはもう一段階上がってくれるとというのが正直なところ。もちろん、そうなればPowerMac G4シリーズとのバッティングは避けられないか・・・。
拡張性、メンテナンス性はコンシューマー向けモデル登場の際、どうしても俎上に上がるポイントですが、新iMacで拡張が許される点はAirMacカードと増設メモリ。旧iMacのRev.E以降と同等となっています。
底面ビス4本を緩めるとアクセス可能な増設スロット。左は144pin SO-DIMM、右がAirMacカード用。内部の168pin SDRAMやハードディスクへは、4本のT15トルクスを外す必要がありますが、ユーザーによるアクセスはサポート対象外。 異なる点としては、Rev.Eシリーズでは168pinのSDRAMスロット2本となっていたものが、新iMacではユーザー増設用の144pinのSO-DIMMが1本と、工場出荷時装着/サービスでの換装用に用意される168pinのSDRAMスロット1本に変更されたところ。
その他の項目には、使用メモリを統一して欲しかったといったご意見も多く見られましたが、新iMacではマザーボードのアクセスが底面からとなり、144pin SO-DIMMに代え168pin SDRAMを採用することは、匡体の高さから困難か。底面を完全に開き、マザーボード表面からのアクセスを簡易化するというアプローチもありそうですが、匡体全体をヒートシンクとして利用する構造で、マザーと上部ユニットの接続が少々複雑となっていることもあり、トラブル発生に繋がる恐れも。
上下ユニットを繋ぐケーブルがタイトに取り回されており、あまりバラしたくない匡体構造になっています。 現時点では168pin SDRAMの方が価格的には有利なため、初代〜Rev.DのiMacのように、両方を144pin SO-DIMM化するということも、低価格化の阻害要素となってしまい、マザー直付けでは将来的なライン変更の際に柔軟性を欠くものに。
価格や手持ちメモリの流用といった点では残念にも思われますが、ユーザーにとっても作業のしやすさと匡体サイズ他の要素を両立するためには合理的な選択のようにも思われます。
ユーザーに許される増設では最大768MBと、旧iMacシリーズからは256MB減ってはいるものの、実際使用においては容十分な容量。これ以上を望むならばサービスプロバイダでのメモリ換装も可能とのことですので、実質的にメモリ拡張性が決定的な問題にはならないかと思います。後は144pin SO-DIMMのストリートプライスが下がってくれれば・・・。
この他の拡張性となると、ハードディスク交換が考えられますが、新iMacではBig Driveを採用しておらず、137GBを越えるハードディスクに対応していません。このため実質的な換装対象となるのは120GBまでとなり、このプラス60GB(CD-RW/ Combo Driveではプラス80GB)をどう捉えるかによって評価が分かれそうです(BTOによる換装オプションも現時点では用意されていません)。
800MHzモデルに搭載されていたSegate製60GB HDD「ST360020A」。黒いインシュレーターが特徴的で、ATパーツショップでも見かけることが。 増設が可能であれば問題はないものの、新iMac匡体内は非常にデッドで、これを実現するためには匡体サイズの大型化が避けられません。FireWireという代替方法があることから、ワンドライブというのは仕方のないところでしょう。ハードディスク容量については3.8%の方から失望点としてお答えをいただきましたが、BTO選択肢拡大やサービスプロバイダにおける換装サービスなどに期待したいところです。
この他PCIカード増設やグラフィックカード変更といった点が挙げられますが、このあたりもiMacというシリーズの正確上難しいところか。
3番手のファン内蔵ですが、これはRev.E以降の旧iMacシリーズやPowerMac G4 Cubeでファンレスが採用されたというところからも気になる点です。単純にファンが無いとどうなるか、ひょんなことからそのような状況になったのですが(笑)、匡体下部全体がかなり高温となり、底面などは手で触れない程に熱を持ちました。
デッドなスペースに電源までを詰め込み、CPUもG4/800MHzとなっているため、やはり強制冷却は必要な模様。ではそのファン自体の動作音はどうかというと、静音に対し大変配慮がなされたものとなっていました。
ファンは匡体内部温度(恐らくCPU温度)により動作が制御され、必要な時に可動するというタイプで、常時回っているものではありません(稼動させていると、どうしても回ることが多いようですが、笑)。ファン回転時でも動作音は非常に低く抑えられており、気になるレベルではないようです。
匡体内の取り付けも、シールとインシュレーターを併用した取り付けで、匡体への共振が抑えられ、使用においてはディスプレイがちょうどファンとユーザーの間に壁を作るため、かなり静かな環境であっても、ファンの音に煩わされることはなさそうです。
静音に配慮した大変凝った作りの新iMac冷却ファン。下部匡体上方から内部の空気を逃がすフロー方向となっています。
「匡体の大きさ」も、思った以上に大きいという声が多く寄せられました。直径27cmということで、前項の省スペースでも「結構場所をとりそう」というご指摘もいただきましたが、15インチの可動ディスプレイを安定させるためには、やはりある程度の底面積と重量が必要か?コンポーネンツ構成としても、5インチの光学ドライブを搭載、電源も匡体内に納めており、内部は大変デッドとなっています。
下部ユニットを開いた状態。中央に見えるのはSuper Drive。この上に3.5インチハードディスクが横方向に納まり、その左右には電源ユニットが配置されています。更なる省スペース化を狙うためには、電源ユニットの外出しか、半球上匡体の変更が必要か? 専有面積として考えると、確かに机の中にあるものの中でも場所を取ります。またキーボードがPro Keyboardとなっている点や、外付けPro Speakerも、システム全体をセットした際にはスペースを要する要素となってきます。
一方見た目としてはセット方法にもよりますが、液晶ディスプレイを比較的前方に持ってくることで、下部匡体の存在感を無くすことができます(社内でも「で、本体はどこに?」という質問を受けました)。
価格については、魅力とされた方が28.8%に対し、失望した点としては13.4%の方が挙げられています。これは新iMac自体に対するマシンとしての価値に対してより、ベーシックモデルという位置付けにあるiMacシリーズに対する価格としては「高い」と判断された方が多かったようです。「初めて買うベーシックモデルならば10万円以下の機種も」、「旧iMacもエントリーモデルとして存続させて欲しかった」というご意見を多くお寄せいただきました。
ここまでできてこのお値段という考え方も当然ありますが、現在販売されている10万円以下のマシンでは、「安物買いの銭失い」ということはほとんどないように思います。これはパーソナルコンピューターに対するニーズが多様であり、その中でもネット端末といった利用の仕方が大きな割り合いを占めているため、マシンスペックや機能のみを基準とした価値判断もすでに過去のものとなっているようです。
インターネットというコミュニケーション手段が必需までいかずとも、広く利用されるようになった現在、単に値段を下げるというだけでなく、ネットに最適化されたマシンをリーズナブルな価格で提供するといったアプローチをアップルに期待しています。
モニタ外部出力も10.2%の方が失望した点に挙げられていますが、これはマルチモニタという利用形態とあわせ、やはりディスプレイ解像度とからんだ不満点となっているようです。また現在は製産休止という状態にあるPowerMac G4 Cubeに対しても熱いラブコールが多く、「いっそ別体型で」というご意見を沢山お寄せいただきました。
残念ながら短命に終わったPowerMac G4 Cubeですが、今回のiMacを見ると、ディスプレイ別体型・低価格というコンビネーションが実現できれば復活もアリか? PowerMac G4シリーズとの境界を明確にする必要があるかとは思いますが、こうした差別化が結局は「どちらも買わない」ということにも?ハイエンドユーザーの方からはPowerMac G4シリーズに対するテコ入れを望む声も多かったようです。
デザインについては魅力として挙げられた方が69.5%に対し、失望した点とされた方は8.2%。単にこれを比較し、デザインの善し悪しを判断することはできませんが、お寄せいただいたご意見にもあった通り「賛否が分かれるデザイン」であることは確かなようです。
デザインの中では、電源ボタンやI/Oポートの位置についての要望も多かった模様。これらのパーツはマザーボードの周囲に配置され、匡体後方に位置しますが、電源や抜き挿しすることが多いUSB/FireWireケーブルについては実際使ってみても使いづらいことが。特にUSBケーブルのコネクタが縦方向となったため、裏/表がはっきりせずに目視しないで挿すのはかなり厄介です。
マザーボードの底面パネルへの取り付けはI/Oポートに差し込むようスライドさせてマウントするため、なかなか難しいとは思いますが、USB/FireWire1ポートずつでもフロントのドライブベゼル下にあってくれるとありがたいか。
ディスプレイ可動範囲については卓上スタンドのようなZ型のアームを望む声や、ディスプレイを支柱ではなくディスプレイ側の根元部分で左右に振れることを望むご意見が多かったようです。
後者に関しては、当初どんな感じか気になる点でしたが、アームが長く、下部ユニットをオフセットして置くのであれば必須かと思われますが、iMacのネック長は約20cm。これまで使ってみた限りではあまり必要性を感じませんでした。
ポートレートモニタのように90度回転させることで、縦型ディスプレイ化できると良かったというご意見も。確かにこれができると、A4サイズのレイアウトが格段にやりやすくなるのですが・・・。
逆に感心した点としては、下向きにも僅かながら仰角(と言うのが適切か?)が付けられる点。机にセットした状態では、座高の違いにより当然視点が変化します。座高が高いため、個人的には下向きの必要性は全く感じていなかったのですが、前項でも触れましたが「4才になった息子が、自分の視野に合わせれるので非常に喜んでいる」というご意見もいただきました。パソコンを家庭内で共有するというスタイルには、こうした点も使い勝手や操作意欲にも大きく影響してくるようです。
ホワイトという匡体カラーには愛煙家の方から「Jobsは、完全にスモーカーを排除したいのが伺えます」というご指摘など疑問の声が。喫煙に限らず、艶消しの表面処理とともに、経年による汚れはある程度覚悟しなければならないかもしれません。艶消し仕上げに関しては、Cube登場の際に話題になったモールドライン対策という面も?
OS Xのデフォルトシステム化もiMacの魅力とともに選択肢に加えましたが、魅力と感じた方10.8%に対し、失望と感じられた方は5.6%。新規購入ではなく、買い替えを考える上では、これまでの環境をいかにシフトさせるかが重要なテーマとなりますが、やはり周辺機器やアプリケーションの対応がネックに。デフォルトシステム化が悪いというより「時期尚早である」とのご指摘が多いようです。
クロックスピードに関しては2.2%の方が失望した点として挙げられました。現状アップルのマシンの上限クロックは1GHzで、こちらとの比較では高コストパフォーマンスと言えるものの、Windowsの世界と比べてしまうと・・・。iMacに限ったことだけではなく、G4化によりCPU供給元がモトローラ社一社となることへの不安や、同社に対するクロックスピード向上の要望が多かったようです。
須山 慶太(編集責任者、はい、須山歯研です!)
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