初めは木で作られた義歯

室町時代頃に登場した入れ歯は、木を削って作られました。現在では口の中の型を取り、それに合わせて入れ歯を作ることができますが、木を削り口に合わせるのは大変困難な作業。当時仏像の製作を行っていた仏具師の手で、高い木工技術を駆使し作られたようです。口の中で歯に代わり働くため、固く、水をなるべく吸い込まない「つげの木」が材料として用いられました。

 

つげの木から削り出して製作された木床義歯。硬く水を含みにくいつげの木は、口の中に長期間納め機能する入れ歯に適した材料でした。

 

この木の入れ歯「木床義歯」(もくしょうぎし)はその後江戸時代まで長く利用されましたが、明治時代になると新しい歯科用の材料が西洋から紹介されます。口の型をもとにして製作することができるゴム材料は、それまで口に合わせることが困難だった木に換わり、床の材料として広く用いられるようになります。

その後高分子化学の発達とともに、歯科の世界でもプラスチック材料が利用されるようになります。プラスチックは軽く丈夫で、また木やゴムに比べ水を吸い込みにくいため、口の中に長く入れておく入れ歯の材料としては画期的なものでした。このプラスチック材料は改良が進められ、歯科用レジンとして現在でも歯科医療分野で活躍しています。

 

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