マイクロソリューションMore Cool Pocket

アップルマークカラーをカスタム可能なJUNIN-TOIRO for iBookなど、ユニークな製品を発表しているマイクロソリューションではiBook(Dual USB)、PowerBook G4兼用のモバイルクーリングユニット「MORE COOL POCKET」を発表。iBook(Dual USB)にて試用をいたしましたので、結果などご報告いたします。

マイクロソリューション製iBook/PowerBook G4用クーリングシステム、「MORE COOL POCKET」。電源供給はUSBからのDC5Vと、付属のACアダプタを介した9Vを用途に応じ変更できます。ポータブルを視野に入れた製品であるため、サイズの小型化に小径のシロッコファンを採用。問題となりやすい振動と騒音は、駆動電圧を落とし回転数を下げることで対応、内部には制振ラバーシートも。

ファン本体の取り付け方法にも工夫が。以前ウチでも固定方法を色々検討したのですが、MORE COOL POCKETではマグネットによる固定となっています。左がマグネット、右は固定用の金属プレートが張り付いた状態。

排熱スリット部に金属プレートを固定。取付はファンに金属プレートをはりつけ、シール台紙を剥がした後、排熱スリットに合わせて押し付けるというもの。ファンを一度外し、一晩そのまま放置することで、強力な接着力が得られるとのこと。金属プレートはシールで強固に固定されますが、外す際には後や傷は残りませんでした。

ファン本体を排熱ポート部にあわせてあてると、磁力で所定の位置に固定されます。マグネットということで、ハードディスク他への影響が気になりますが、社内の長期テストを経ており問題なしとのこと。今回の使用においても、トラブルや挙動不審となることは一切ありませんでした。

USBケーブルで接続をした様子。ケーブルが少々長いのはPowerBook G4と兼用のため。

まずは発熱の抑制効果確認を赤外線放射温度計を用いて測定。パームレスト・トラックパッド部を5×4.5cmに6分割し、表面・裏面の温度を計測してみました。

5×4.5cmに6分割し、温度分布と変化を測定(サーモグラフィーの代替ということで・・・)。使用した赤外線放射温度計は佐藤計量器製「SK-8700」。

下表はパームレスト面の温度分布とその変化を計測した結果です。条件1はPixelCatにてスライドショーを待ち時間無しでループさせ20分後の値、条件2はスライドショーを回したまま「MORE COOL POCKET」を動作させ、温度変化が無くなった時点での計測値、条件3はファンを回したままスライドショーを終了させ、温度変化が無くなった時点での計測値です。USBによる5V、ACアダプタ駆動の9Vについてそれぞれ測定を行いました。

システムを立ち上げる前に測定した各部位の温度は25度でした。なお当測定では、木製机やスチール机など設置場所による温度変化を考え、5mm厚のスポンジ上にiBookを設置しています。下の表でファンは2-A部側方に設置し、1-A〜2-Bがパームレスト部になります。

USB給電・5V/パームレスト
   

A

B

C

条件1

条件2

条件3

1

38度

36度

33度

37度

34度

32度

34度

32度

30度

条件1

条件2

条件3

2

38度

36度

34度

39度

37度

35度

34度

31度

29度

〜28度 / 29〜31度 / 32〜34度 / 35〜37度 / 38〜40度 / 41度〜 / 44度〜

  

USB5V駆動での測定では、アプリケーションを継続的に利用する条件2では、2〜3度の温度抑制が得られています。しかし不快感の境界線「体温」にまだ近いところにあり、利用される方によって判断が分かれるところでしょうか。条件3においてはおおよそ体温からは離れた値となっています。MORE COOL POCKETでは、ファンのフロー方向を排気側に向けているため、トラックパッド部(1-C/2-C)の値が上昇することはありませんでした。

ポータブル用途では、膝の上に載せるといった使用が考えられますが、底面の温度分布は下表の通りです。

USB給電・5V/底面
   

A

B

C

条件1

条件2

条件3

1

43度

41度

38度

45度

43度

40度

41度

38度

37度

条件1

条件2

条件3

2

42度

41度

38度

43度

41度

38度

39度

36度

34度

〜28度 / 29〜31度 / 32〜34度 / 35〜37度 / 38〜40度 / 41度〜43度 / 44度〜

  

実際には体温との関係もあるかと思いますが、やはりアプリケーションを継続使用すると、パームレストの熱は残るようです。帰宅時に京葉線(荻窪圭さんのご指摘通り、異常に横揺れが激しく、PBG4を広げていると時として不安を感じます)内で使用してみましたが、PageMillを使い継続的にテキスト入力、画像張り付けといった作業を行ったところ、足より右手に熱を感じました。

作業内容やPC設置場所により変わるかと思いますが、上記試用感としては、「もう少し温度が下がってくれると」というのが個人的な感想でしょうか。

  

ACアダプタ給電・9V/パームレスト
   

A

B

C

条件1

条件2

条件3

1

37度

34度

30度

36度

32度

29度

34度

29度

27度

条件1

条件2

条件3

2

38度

33度

30度

38度

33度

30度

33度

27度

26度

〜28度 / 29〜31度 / 32〜34度 / 35〜37度 / 38〜40度 / 41度〜43度 / 44度〜

  

5Vでは少々物足りなさを感じたものの、ACアダプタによる9V駆動になると冷却効率はかなり向上してきます。条件2でも十分な温度低下が見られ、温度分布も拡散することなく均一に低下しています。パームレスト部でも熱を持っているという感じはあるものの、不快感につながるような温度ではなく、かなりヘビーな用途でも、熱により不快を感じるということはなさそうです。

こちらもご参考まで底面の温度分布を。

ACアダプタ給電・9V/底面
   

A

B

C

条件1

条件2

条件3

1

44度

40度

33度

45度

41度

36度

39度

36度

34度

条件1

条件2

条件3

2

42度

39度

34度

43度

39度

35度

38度

36度

33度

〜28度 / 29〜31度 / 32〜34度 / 35〜37度 / 38〜40度 / 41度〜43度 / 44度〜

  

動作音についても「MORE COOL POCKET」動作時の音圧を測定してみましたが、5V駆動時では33dB。非動作時が29dBですので、プラス4dBという大変良好な結果が得られました。ウチの作業環境はエアコンが回った状態でおよそ45dBですので、こうした環境下であれば音は気にならないレベルでしょう。

9V駆動時ですが、さすがに動作音が上昇、48dBとなりました。「ファーッ」という音質ですので、耳障りとなりやすい高周波成分は少ないように思いますが、静かな環境ですとやはり耳につくレベルとなります。

  

MORE COOL POCKETはシロッコファンを用い小型化を計り、駆動電圧を下げることで騒音・振動を抑制、ポータブルをも可能とするという意欲的な製品でした。自宅での使用にACアダプタを用い9Vにて利用しておりますが、個人的にはOK。一点気になったところは使用環境と動作電圧のミスマッチ。

これはUSBから取り出し可能な電圧(5V)や、シロッコファンの駆動電圧という制限があるため仕方のないところですが、通常交通機関など移動中での利用において、ファンノイズが気になるという局面は少ないように思います(地下鉄内であれば、かなりの音でも気にならないのでは)。冷却効果に関しても、自宅や固定した作業環境であれば、冷却系製品との併用といった方法も考えられますが、モバイルではファンのみに頼らざるを得ないという側面も。

同製品が持つ電圧による回転数変更というアイデアを、「静かな場所では低速」、「ちょっと騒がしい所なら高速」(USBで3.5V/5Vとか)といった感じに切り替えられるようなオマケを次の製品に期待しています。

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